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そのまま正社員になれる?
大学生が後悔しない決め方

飲食店のバイトは
そのまま正社員になれる?
大学生が後悔しない決め方

「アルバイト先の店長や社員さんから、『このままうちで正社員にならない?』と声をかけられた」
「就職活動を進めながら、今のバイト先にそのまま就職する道も気になっている」
——そんな大学3年生・4年生の方も多いのではないでしょうか。

周りが説明会やエントリーシートに追われる中、「バイト先に決めてしまっていいのかな」「ちゃんと就活をしていないと思われないかな」と、不安になる気持ちもよく分かります。

この記事では、飲食店で「バイトからそのまま正社員」になるという選択肢について、仕組みから気になる新卒扱いの問題、メリット・デメリット、そして後悔しないための決め方まで、順番に整理していきます。あなたが納得のいく決断をするための、判断材料にしていただければと思います。

そもそも「バイト先でそのまま正社員」は
可能なの?

結論からお伝えすると、バイト先の飲食店でそのまま正社員になるという道は、決して特別なことでも、抜け道のようなものでもありません。多くの飲食店が「正社員登用制度」という仕組みを用意しており、実際にこの制度を使って正社員になった方はたくさんいます。まずは、その仕組みと背景を見ていきましょう。

正社員登用制度ってどんな仕組み?

正社員登用制度とは、アルバイトやパートとして働いている人が、一定の期間を経たあとに、同じ会社で正社員として雇用してもらえる仕組みのことです。難しく考える必要はなく、「バイトとして頑張って働いていたら、社員として声をかけてもらえた」というケースの多くは、この制度にもとづいています。

会社によって仕組みは少しずつ違いますが、一般的には、アルバイトとしてある程度の期間働き、仕事ぶりや人柄を店長や周りのスタッフに認めてもらったタイミングで、「正社員にならないか」と声をかけられることが多いようです。そこから、面接や簡単な試験などを経て、問題がなければ正式に正社員として採用される、という流れになります。

厚生労働省が企業を対象に行った調査でも、7割近い企業が何らかの正社員登用制度を持っていると回答しており、飲食業をはじめ、多くの業種でこの制度が使われています。つまり、あなたが今検討している「バイト先にそのまま就職する」という道は、決して珍しい選択肢ではなく、多くの企業が正式な制度として用意している、まっとうな就職ルートのひとつなのです。

「バイトから社員になる」と聞くと、なんとなく正式な就職ではないような、格下のルートのようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。会社としても、日頃の働きぶりをじっくり見た上で採用を決められるため、書類選考や短い面接だけで判断する通常の採用よりも、お互いのミスマッチが少ない安心感のある採用方法だと考えられています。

なぜ飲食店で「バイトからそのまま社員」が多いのか

飲食業界で「バイトからそのまま正社員」というケースが特に多いのには、理由があります。それは、飲食業界全体が深刻な人手不足に直面しているという背景です。

帝国データバンクが2024年4月に行った調査では、飲食店の51.0%が「正社員が不足している」と回答しており、多くのお店が正社員の採用に苦労している実態が明らかになっています。人手不足のなか、企業としても「一から新しい人を採用して育てる」よりも、「すでに働きぶりを知っているアルバイトスタッフに、正社員として長く働いてもらいたい」と考えるのは自然な流れです。

すでに仕事の基本的な流れやお店のルールを理解しているアルバイトスタッフは、企業にとって「即戦力」に近い存在です。一から研修をする必要が少ない分、企業側の採用・教育コストを抑えられるというメリットもあります。そのため、飲食業界では新卒の一括採用だけでなく、アルバイトから正社員へのルートを重要な採用手段として積極的に活用している企業が多いのです。あなたのバイト先が声をかけてくれているとしたら、それは業界全体のこうした流れの中で、あなたの働きぶりがきちんと評価されている証拠だと言えるでしょう。

バイト先に就職すると「新卒」じゃなくなるの?

大学生の方が「バイト先にそのまま就職する」ことを迷う一番の理由は、「新卒というカードを無駄にしてしまうのではないか」という不安ではないでしょうか。ここでは、新卒という扱いがどう決まるのか、そして一般的な就職活動との違いについて整理します。

卒業後すぐ入社なら「新卒」として扱われる

「新卒カード」という言葉は、大学などを卒業するタイミングでしか使えない、就職における特別な立場を指す言葉として使われています。新卒として就職できるかどうかを決めているのは、「どのルートで内定をもらったか」ではなく、「卒業と同時に、正社員として働き始められるかどうか」という点です。

つまり、バイト先の飲食店から「卒業したらそのまま正社員として働かないか」と声をかけてもらい、卒業と同時にその会社の正社員として入社するのであれば、それは立派な新卒入社にあたります。合同説明会やナビサイトを使わずに内定をもらったからといって、新卒という扱いがなくなるわけではありません。

新卒カードを無駄にしたと言われるのは、卒業のタイミングで就職先が決まらず、アルバイトのまま卒業してしまったり、就職浪人をしたりして、「既卒」という扱いになってしまうケースです。バイト先にそのまま就職するという選択は、むしろ卒業前にきちんと就職先を決められているという意味で、新卒カードをしっかり使えているケースだと言えます。ただし、会社によって新卒扱いの細かい制度や研修内容が異なる場合もあるため、気になる場合は一度、会社の人事担当者に確認してみると安心です。

一般的な就活(複数社を受ける)との違い

一般的な就職活動では、複数の企業にエントリーし、説明会や面接を重ねながら、自分に合った会社を比較して選んでいくのが基本的な流れです。業界や職種を広く見て回ることで、自分でも気づいていなかった興味や向き不向きが見えてくることもあります。

一方、バイト先にそのまま就職する場合は、基本的にはすでに知っている1つの会社への就職を決めることになります。そのため、就職活動特有の「何十社にもエントリーして、慣れない面接を繰り返す」という負担が少なく、精神的にも時間的にも余裕を持ちやすいという違いがあります。すでに職場の雰囲気や人間関係、仕事内容を知った上で決断できるため、「入社してみたらイメージと違った」というミスマッチが起きにくいのも特徴です。

もちろん、これは「良い・悪い」の話ではなく、あくまで進め方の違いです。周りの友人が何社も面接を受けているからといって、焦る必要はありません。ただし、他の会社を比較する機会が少なくなる点は事実なので、後の章でお伝えする注意点も踏まえた上で、自分なりに納得して決めることが大切です。

バイト先で正社員になるまでの流れ

実際に「バイト先で正社員になる」と決めた場合、どのように話を進めていけばよいのでしょうか。ここでは、相談のタイミングから内定までの一般的な流れを紹介します。

まずは誰に、いつ相談する?

まず気になるのが、「誰に、いつ相談すればいいのか」という点だと思います。基本的には、日頃お世話になっている店長、もしくは採用に関わる社員の方に相談するのが一般的です。

企業によっては、日頃の働きぶりを見て、企業側から「正社員にならないか」と声をかけてくれるケースもあります。一方で、声をかけられるのを待つのではなく、自分から「卒業後もこのお店で正社員として働きたいと考えている」と伝えることも、まったく問題ありません。むしろ、意欲がある姿勢を伝えることで、話がスムーズに進むケースも多いようです。

タイミングとしては、一般的な就職活動のスケジュールを意識しておくと安心です。多くの企業で内定が出始めるのは大学3年生の後半から4年生の春にかけてです。この時期までに「バイト先で働き続けたい」という意思がある程度固まっているなら、大学3年生の後半あたりで一度相談してみるとよいでしょう。早めに意思を伝えておくことで、会社側も採用や研修の計画を立てやすくなりますし、あなた自身も安心して残りの学生生活を過ごすことができます。迷っている段階でも、「将来的に社員登用を考えている」という気持ちだけ先に伝えておくのも一つの方法です。

登用試験・面接では何を聞かれる?

正社員登用にあたっては、多くの場合、店長や本社の担当者との面接が行われます。会社によっては、簡単な筆記試験が実施されることもあります。

面接では、「なぜアルバイトではなく正社員として働きたいのか」「これから先、どんな仕事をしていきたいか」「これまでのアルバイト経験の中で、大変だったことや工夫したこと」といった質問がよく聞かれます。すでにその職場で働いている分、初対面の面接とは違い、日頃の仕事ぶりも含めて評価してもらえる点は心強いポイントです。とはいえ、「バイトだから」と気を抜かず、正社員として働く意志や将来のビジョンをきちんと言葉にして伝えられるよう、事前に自分の考えを整理しておくことをおすすめします。

はじめて「面接」という場に臨むことに緊張してしまう人もいるかもしれませんが、アルバイトとして日々経験してきた接客や、忙しい時間帯を乗り切ってきた経験そのものが、立派なアピール材料になります。特別なエピソードを新しく作ろうとするのではなく、実際に自分が頑張ってきたことを、素直な言葉で伝えることを意識してみてください。

面接でどんなことを聞かれるのか、どう答えれば好印象につながるのかについては、飲食店の正社員面接に特化して詳しく解説している記事があるので、あわせてチェックしてみてください。

飲食店の正社員面接で差がつく!準備と質問対策を完全解説

バイト先にそのまま就職するメリット

バイト先の飲食店にそのまま就職することには、学生ならではのメリットがいくつもあります。ここでは、代表的な2つのポイントを紹介します。

仕事にも職場にも慣れている安心感

就職先を選ぶうえで、多くの人が不安に感じるのが「新しい職場の人間関係になじめるだろうか」「実際の仕事内容が、自分に合っているだろうか」という点です。バイト先にそのまま就職する場合、この不安がかなり小さくて済むという大きなメリットがあります。

すでに一緒に働いている店長やスタッフとの関係ができているため、入社してすぐに孤立してしまう心配がありません。困ったときに気軽に相談できる相手が最初からいるというのは、社会人としてのスタートを切るうえで、精神的にとても心強い材料です。

また、アルバイトとしてホールや調理の仕事をひと通り経験しているので、「入社したら、思っていた仕事と全然違った」というミスマッチが起きにくいのも特徴です。お店の忙しい時間帯の雰囲気や、お客様への接し方、一緒に働くメンバーの人柄まで、実際に働きながら知ることができているからこそ得られる安心感と言えるでしょう。ゼロからのスタートに比べて、早い段階から自分の力を発揮しやすい環境が整っているのは、バイト先に就職する大きな強みです。

給料・待遇はどう変わる?

正社員になることで、働き方や収入の仕組みも大きく変わります。アルバイトの給料は「時給制」で、働いた時間の分だけ支払われるのが基本ですが、正社員になると「月給制」になるのが一般的です。月給制では、忙しい月もそうでない月も、毎月決まった金額の給料を受け取れるため、収入の見通しが立てやすくなります。毎月の収入が安定することで、一人暮らしの家賃の支払いなど、将来の生活設計も立てやすくなるというメリットもあります。

また、正社員になると、賞与(ボーナス)が支給される会社が多くなる点も大きな違いです。加えて、健康保険や厚生年金保険といった社会保険にもきちんと加入することになるため、病気やケガをして働けなくなったときの保障や、将来受け取れる年金の面でも、アルバイトの頃より手厚く守られるようになります。

もちろん、初任給や賞与の金額、待遇の内容は会社によって差があるので、「これくらいもらえる」と一概には言えません。実際にどのくらいの給料になるのか、詳しく知りたい人は、飲食業界の年収事情を詳しく解説した記事もあわせて参考にしてみてください。

飲食業界の年収事情とは?キャリアアップでどこまで上がるのか

知っておきたいデメリット・注意点

良いことばかりに目を向けてしまうと、あとになって「思っていたのと違った」と感じることにもなりかねません。ここでは、正社員になる前に知っておきたい注意点を2つ紹介します。

「バイトの延長」では務まらない仕事が増える

正社員になると、アルバイトの頃には任されていなかった仕事を担当するようになります。ホールでの接客やキッチンでの調理といった、これまでの「現場の仕事」に加えて、後輩やアルバイトスタッフの教育、シフトの作成、食材の発注や在庫の管理、売上の管理など、お店を運営していくための仕事が増えていきます。

これまでは「決められた時間に、決められた仕事をこなす」ことが中心だったかもしれませんが、正社員になると、「お店全体がうまく回るように、自分で考えて動く」という役割が求められるようになります。人手が足りない日には自分がシフトに入って穴を埋めたり、クレーム対応の最終的な責任を負ったりする場面も出てきます。

もちろん、いきなりすべてを完璧にこなす必要はなく、多くの会社では少しずつ仕事の幅を広げていけるようサポートしてくれます。ただし、「アルバイトの延長のような気持ちのまま」では正社員の仕事は務まらない、という心構えは持っておいた方がよいでしょう。責任が増える分、店舗運営や人のマネジメントを学べるというやりがいにもつながる部分なので、前向きに捉えられるかどうかも、判断材料のひとつになります。

他の会社と比べる機会が少なくなる

先ほどの章でも触れた通り、バイト先にそのまま就職する場合、一般的な就職活動のように何社も比較検討する機会は少なくなります。今の職場に満足していて、迷いがないという人にとっては大きな問題にはなりませんが、「他の業界も見てみたら、もっと自分に合う仕事があるかもしれない」という可能性を試さないまま決断することにはなります。

特に、アルバイト以外の業界や職種をまったく知らないまま社会人になることに不安がある場合は、いきなり就職先を確定させてしまう前に、一度は他の業界の説明会やインターンに参加してみることをおすすめします。実際に他の業界の話を聞いてみたうえで、「やっぱり飲食業界で、このお店で働きたい」と思えるなら、その決断にはより自信を持てるようになるはずです。

比較する機会が少ないからといって、必ずしも不利になるわけではありません。大切なのは、比較しないまま何となく決めてしまうのではなく、一度立ち止まって「自分は本当にこの道でいいのか」を考えたうえで決断することです。次の章では、この選択が向いている人・向いていない人の特徴を紹介するので、自分に当てはめながら読んでみてください。

迷ったときの決め方|向いている人・向いていない人

ここまでの内容を踏まえて、最後に「バイト先にそのまま就職する」という選択が向いている人・そうでない人の特徴を整理します。自分に当てはまるかどうか、確認してみてください。

この道が向いている人の特徴

以下のような気持ちや状況に当てはまる人は、バイト先にそのまま就職する道が向いていると言えます。

まず、今の職場の雰囲気や仕事内容に、心から満足できているという人です。一緒に働く店長やスタッフとの関係が良好で、「このお店で、もっと責任のある仕事に挑戦してみたい」と自然に思えるなら、それは大きな適性のサインです。また、慣れない環境に飛び込むことへの不安が強く、知っている環境で着実にステップアップしていきたいと考えるタイプの人にも向いています。就職活動そのものに時間や労力をかけるよりも、今の職場でスキルを磨くことに時間を使いたいと考えている人にとっても、納得感のある選択になるでしょう。

加えて、店長や本部のスタッフとして働く自分の姿を具体的にイメージできている人も、この道に向いていると言えます。「将来的に店長を任されたい」「いずれは独立して自分のお店を持ちたい」といった目標がある場合、今の職場で正社員として経験を積むことが、その目標への近道になることも少なくありません。

一度、他の会社も見ておいた方がいい人

一方で、次のような気持ちがある人は、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。

「今の職場が嫌なわけではないけれど、他の業界の話も一度は聞いてみたい」という気持ちが少しでもあるなら、その気持ちを無視しない方がよいでしょう。また、「就活が面倒だから」「みんなが焦っているのを見て自分も早く決めたいから」といった、消去法や焦りだけで決めようとしている場合も要注意です。一時的な感情で決めてしまうと、後になって「もっと視野を広げてから決めればよかった」と感じてしまう可能性があります。

周りの友人が何十社にもエントリーして就職活動を頑張っている姿を見ると、「自分も同じようにしないといけないのでは」と焦る気持ちが出てくるかもしれません。ですが、就職活動のやり方に決まった正解はありません。人と比べて焦るのではなく、自分自身が納得できる決め方を選ぶことが何より大切です。まだ気持ちが固まっていないと感じるなら、内定という結果を急ぐ必要はありません。今のバイト先という選択肢を持ちながら、他の業界の説明会に参加したり、他の求人を調べてみたりすることも十分可能です。

あなたの進路を、"周りのペース"だけで決めないで

大切なのは、周りの就活のペースに流されることでも、目の前の話を断ることでもなく、長期的な視点で、あなた自身が後悔しない道を選ぶことです。

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