飲食店勤務という職業を「恥ずかしい」と感じている方は、少なくありません。でも、あなたも友達と飲食店で一緒に食事をするとき、とても楽しくて充実した時間を過ごしていますよね?そう、飲食店は人に幸せを与える場所。誇らしいと感じるならまだしも、「恥ずかしい」などと感じる必要はありません。
当記事では、飲食店勤務を「恥ずかしい」と感じる理由、仕事を通じて身につくスキル、将来のキャリアパスなどについて解説しています。
飲食店での仕事は誰にでもできる仕事、と感じている方がいるかもしれません。ところが実際は、お客様の気持ちを読み取って臨機応変に対応するなど、高度な対人スキルが必要な仕事。決して誰にでもできる仕事ではありません。飲食店に就職してもすぐに辞めてしまう人は、このスキルを習得できなかった人、と考えることもできます。
例えば、常連客からいつもとは違うメニューの注文を受けた際、何か気の利いた一声をかけるなど、飲食店従業員には小さな気配りが求められます。一見、簡単そうですが、実は誰にでもできる対応ではありません。
かねてから飲食店従業員は、決して給料が低いわけではありません。ただし、サービス残業やサービス出勤が多かったことから、時間あたりの実質給料が低いと思われがちでした。確かに、過去にはそのような時代もありましたが、現在は働き方改革が浸透し、特に大手ではブラックなイメージがほとんどありません。
週休2日制や福利厚生制度などの整備も、だいぶ進んでいます。シフトも柔軟になるなど、飲食業界の労働環境は確実にアップデートされています。
「飲食店勤務=現場で終わり」というイメージをお持ちの方がいるかもしれませんが、詳しくは後述する通り、飲食店従業員のキャリアパスは多様です。
最初から正社員で入社した人はもちろんのこと、アルバイトから正社員に登用された人も、多くの場合、数ヶ月~1年程度の現場経験で店長に昇格。店長職を数年経験した後は、マネージャーやスーパーバイザーとして複数店舗を管轄する立場となったり、商品開発を担当する本部社員となったり、社内ベンチャーで独立したりなど、在職し続ければ様々な将来が待っています。飲食業界は、現場止まりの業界というよりも、逆に継続的に成長を続けられる業界と言って良いでしょう。
20代などの若いうちから、店舗リーダーとしての実践的なマネジメントスキルを身につけられます。具体的には、シフト管理や原価管理、スタッフ教育など。これらの経験は、飲食業界以外でも求められる重要なスキルとなります。
人付き合いが得意ではない友達が、飲食店でのアルバイトを経てから、人が変わったように明るくおしゃべりのできる性格に変貌した、という例を見たことはありませんか?
飲食店は、仕事を通じて自然に「聞く力」「察する力」「伝える力」の総合力を養える職場。お客様だけではなく、上司や後輩などとの関わりも通じ、コミュニケーション能力が飛躍的に向上する場です。
「注文が厨房へ届いていなかった」「レジがトラブルを起こした」等々、飲食店では毎日のように何らかのトラブルが発生します。急なトラブルが発生すると、当然、従業員は焦りますが、焦っているばかりでは問題が解決しません。
トラブルの影響を最小限に抑えるよう、従業員は瞬時(数秒以内)に適切な策を判断し、チームを動かす必要があります。この迅速な判断力と問題解決力は、いかなる業界でも重宝されるスキルとなります。
「雨の日限定メニューを出したら売上が上がった」「SNSで情報を発信したら、普段とは違う客層が増えた」等々、現場では様々な試行錯誤を通じて「売れる状況」「売れない状況」を体感します。これらの経験の積み重ねにより、少しずつ、商品を売るためのマーケティング力が養われるでしょう。
この的確なマーケティング力は、机上の勉強では決して身につきません。業界を問わず役立つ重要なスキルとなります。
新卒や中途で飲食業界に入社した正社員であれ、アルバイトから登用された正社員であれ、飲食店勤務は「一生現場で終わる仕事」ではありません。正社員として入社すれば、比較的短い期間で店長職を任されるでしょう。その後、一般にはエリアマネージャーやスーパーバイザーとして複数店舗の統括を任されます。複数店舗の運営を経て、本部で商品開発や人事、役員などの立場へ進む人もいるでしょう。
あるいは、会社の独立支援制度を活用して自分の飲食店を展開する人もいるでしょう。「飲食店勤務=一生現場=店長止まり」という時代は、もう終わりました。
近年、飲食業界出身の人材が他業界で評価されるケースが大変増えています。その理由は明確で、元・飲食店従業員は「コミュニケーション力」「チーム管理能力」「問題解決力」「臨機応変性」「人の話を聞く力」等々、高いビジネススキルを持っているからです。
これらのビジネススキルは、基本的にどの業界でも再現可能な重要な能力。仮に将来、他の業界へ転職することになったとしても、転職活動を有利に展開するための大きなアドバンテージとなります。
一昔前の飲食業界とは異なり、現在の飲食業界は、単なる現場労働力を求められる業界ではありません。お客様とのコミュニケーション力や細やかな気配り、チーム運営、マーケティング等々、多様なスキルを求められる業界であり、そのスキルを十分に学べる業界でもあります。ビジネスパーソンとして成長していくにあたり、飲食業界ほど効率的に学べる業界は、他になかなかありません。
それでもなお、やや古い時代のイメージをお持ちの方の中には、「飲食店勤務は恥ずかしい」と感じる方がいるかもしれませんが、業界の実態が変化を続けている以上、このイメージは、やがて世の中から消えていくことでしょう。誇りを持って飲食業界へチャレンジしてみてください。
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